◆ 飼い主の皆さんは、もちろんご自分のワンちゃんを愛おしいと思っているでしょうし、日ごろ可愛がってあげているでしょう。
◆ しかし、必要以上に可愛がりすぎていませんか?
・例えば室内犬なら、犬が視界に入る度に声をかけ、暇さえあればダッコし、気づけば無意識に犬の頭や体をなでている。犬がご主人様に擦り寄って来たら、やりかけの仕事をうっちゃってでも犬と遊んでやる・・・
・外飼いの犬でも、一日中犬のことを気にして、犬の前を通るたびに声をかけ、頭をひと撫で。犬が吠えればいちいち何かあったのか、何かを求めているのか、と確認に走る。
・・・・・と、ここまで大げさでなくとも、多少なりともお心当たりがあるのではないでしょうか?
・もちろん、皆さん犬が好きで飼っているのですから、可愛がらないでください、可愛がる必要はないなどと言うつもりは全くありません。
・ただ気をつけたいのは、可愛い可愛いが過ぎると、色々な問題の種をまくことになる、ということです。
◆ 一番恐いのは、やはり犬が自分の立場を勘違いしてしまうこと。
・ご主人様が、常に犬を第一優先に考えて行動してしまう。
・犬の要求することはできるだけ応えてやる。
・・・・・こう書くと何か大げさに感じるかもしれませんが、要は上に書いたような、「可愛いから」とご主人様が犬に対して無意識のうちにも取っている行動です。これを続ければ、犬は
・自分が第一優先で、何でも自分の要求は通る
・もしすぐに要求が通らなければ、要求し続ければかならず叶えられる
・気に食わないことがあれば、拒否すればよい。何なら、ちょっと怒ったフリすればいい。
・・・と考えるようになり、結果として色々ないわゆる「問題行動」に繋がっていくことになります。
◆ もう一つ大きな点は、いざという時に褒めても喜ばない犬になってしまうこと。
・犬に何か指示を出し、従ったことを大いに褒めてやりたい時。
しかし、一日中声をかけられ、一日中ベタベタ触られている犬は、せっかくのホメ言葉や
有難いはずのご主人様の手を、特別ありがたいものとは思わなくなってしまうのです。
・「ほめる」「叱る」は、犬との意思疎通の一番の基本です。
・ほめて喜ばない犬は、叱っても反省しません。
要するに、犬との意思疎通が根本からできなくなるのです。
◆ もちろん、犬の性格は千差万別ですから、どの程度の「可愛がりすぎ」がどの程度の問題になるかは一概には言えません。
少し可愛がり過ぎた程度では問題にならない子もいれば、一直線に問題児になる場合もあるでしょう。
◆ ただ間違いなく言えるのは、
「犬が完全に自発的に問題児になることはない」
「問題児になる原因は、100%飼い主にある」
ということです。
・もちろん誰だって、わざわざ自分の犬を問題児にしたいと思っている訳はありません。
しかし、日ごろワンちゃんの問題行動などのお悩み相談をうかがっていると、多かれ少なかれ、ほぼ全ての飼い主さんが、(間違った形で)愛犬を可愛がりすぎていることがよく分かります。
犬はヌイグルミやおもちゃではありません。その姿かたちばかりを盲目的に可愛がるのでは、犬は決して良きパートナーにはなってくれないのです。
愛犬家の皆さんには是非、犬の内面にまで目を向けた、節度ある可愛がりかたをしていただきたいな、と思うのです。