・「うちの子はオスワリできます」、「この子、スワレだけは完璧にできるんですけどね」・・・
しばしば、飼い主さんのこのようなお声を聞きます。
しかし、本当にお宅のワンちゃんは「オスワリ」が分かっているのでしょうか?
・お宅のワンちゃんは、次のようなことができますか?
もしどれか一つでもできないとすれば、その子は「オスワリ」を正しく理解しているとは言えません。
(1) ごほうびがなくてもオスワリの指示に従う。
(2) 飼い主さんは、いつでも、どこでも、どんな状況でも、オスワリの指示に従わせる自信がある。
(3)「オスワリ」の指示に従ったとき、褒めてあげると、飼い主さんの目を見て喜ぶ。
(1) まず、オヤツなどのごほうびを見せないとオスワリしない場合。このような場合、犬は純粋にオヤツが欲しいという動機だけで、飼い主さんの指示に従っています。極端に言えば、「パブロフの犬」のような単なる条件反射に過ぎません。
これでは、オヤツがなければ指示に従わない、あるいはオヤツより強烈な誘惑があればそっぽを向くということになり、「オスワリが分かっている」とは言えないのです。
(2) 次に、自宅や庭では絶対オスワリするのに、お散歩中や近くの公園などでは気が散って指示に従わない場合。これも、「オスワリが分かっている」とは言えません。
本来、「オスワリ」の指示と犬がとるべき行動は、一対一で決まっており、周りの状況がどうあれ「オスワリ」の意味が変わってはならないのです。
本当に分かっている犬であれば、例えば、「初めて連れて行った公園で」「周りに散歩中の犬がたくさんいて」「その中の一頭が吠えながらこちらに向かってきている」ような状況でも、「オスワリ」の指示に従うのです。
(3) 最後に、せっかく「オスワリ」したことを褒めても、そっぽを向いてちっとも喜ばない場合。
このような場合、「オスワリ」に対する義務感は持ってるとしても、喜んで従っていないと言えるでしょう。つまり、オスワリしないと怒られるから座る、あるいはめんどくさいと思いながらもしょうがなく座る、という状態です。
そんな子は、褒められているとき、人間の言葉で言えば「もう勘弁してよ」とか「まだ?もういいじゃん」ぐらいのことしか考えていないでしょう。
イヤイヤ従うがめんどくさい、これでは「オスワリを分かっている」とは言えません。
どうですか?お宅のワンちゃん、「オスワリ」が分かってますか?もちろんこれは「オスワリ」のみならず、「コイ」・「フセ」・「マテ」・「アトヘ(ツイテ)」など、
しつけの基本とされる全ての指示(命令)語に共通します。
そもそも、「オスワリ」などの指示(命令)語は、何のためにあるのか、もう一度考えてみてください。
・オヤツを見せびらかしてオスワリができても、それではタダの一発芸です。
・家の中でしかオスワリしないのでは、日常生活で実際に活用できるシーンはほとんどありません
・褒めても喜ばないのでは、ただ無理やり従わせているだけ、
極端に言えば犬の気持ちを無視した虐待です
「オスワリ」などの指示は、
・ご主人様が犬に対し絶対的な自信を持ち、命令的な意味をこめて、犬に「スワレ」の指示を出す。
・指示を受けた犬が、義務感を持って喜んで指示に従い、座る。
・ご主人様が、指示に従ったことを褒める。
・褒められた犬が、喜び、安心する。このように、ご主人様と犬との間に気持ちのやり取りが生じて、始めて意味あるものと言えるでしょう。