◆「犬をしつける」「犬を訓練する」と言うと、まだまだ多くの人が、なにか小難しいこと、あるいは犬に対して厳しいことを要求し、犬を束縛するものとイメージされるようです。
◆ しかし、このホームページでたびたびご説明しているように、本来「犬のしつけ」「犬の訓練」とは、犬の自由を束縛したり、縛り付けることを目的としているのではありません。
むしろ全くの逆で、
・自分の愛犬をもっともっと可愛がってあげられるために
・もっともっと、自由を与えてあげられるようにするために
施すのが、しつけであり、訓練である、と我々は考えています。
◆ 例えば、私たちは二頭のメスのシェパードを飼っています。
世間的には、「警察犬」や「警備犬」など、ちょっと恐いイメージのあるシェパードですが、実はとても優しく、人間に対する愛情にあふれた素晴らしい犬種です。
犬種としての特性はともあれ、私たちは、「いつ、どんなところで、どんな状況でも」この子達をフリーで離してやり、ボール投げしたり訓練したり、他の犬と遊ばせたりすることができます。
例えば、初めて連れて行った空き地などでも、全く不安を感じることなく、車の移動用ハウスからノーリードでパッと出して、そのまま遊んであげられるのです。
それはなぜかといえば、もちろんこの子たちにはきちんと訓練を施してあり、
・どんな強烈な誘惑のある状況でも、飼い主の指示を最優先すること
・名前を呼ばれたら、いかなる状況でも必ず飼い主の元に戻らねばならないこと
・飼い主の前では、他の犬と喧嘩などしてはならないこと
・投げられたボールは、真っ直ぐ飼い主の元に持っていかなければならないこと
・ボールを出せ、と言われたら、絶対に出さなければいけないこと
・「ハウス」の指示があれば、どれだけ遊び足りなくても、直ぐにおとなしくハウスに戻らなければならないこと・・・・などを教えてあるからです。
ボール投げをしてやっているときの彼女たちの表情は、なんとも言えず無邪気に楽しげで、我々も一緒になって楽しんでいます。
このように、最低限守らなければならないルールを定め、絶対に守らせているからこそ、逆に彼女たちにのびのびと楽しい時間を過させてやることができ、私たちも犬を飼うことの喜びを最大限に味わえるのです。
◆ つまり、義務をしっかり守らせる代わりに、その何倍もの権利を与えてやれるということであり、これこそが「しつけ」「訓練」の目的なのです。
◆ 逆に、このようなことを教えられていない犬の場合、どうなるでしょうか。

・呼んでもよっぽど気が向かないと来ないので、自宅の庭ですらリードを離せない
・犬と見れば喧嘩をけしかけるので、散歩中も他の犬がいないか、犬も人もピリピリ、イライラしながら歩く。ましてや、他の犬と遊ばせるなどとんでもない
・ボールを投げてもそのうち飽きて持ってこなくなるので、結局投げてやるのもおっくうになる
・オモチャなどを咥えると、出さない。強く出させようとすると怒るので、遊んでやるのも恐くなる
・自分が満足するまでは絶対に帰りたがらないので、満足するまで辛抱しながら延々と散歩する
あなたは、何の義務も知らず、権利ばかり主張する犬を相手に、本心からリラックスして、共に楽しい時間を過せますか?
◆ 繰り返しになりますが、自分の愛犬をもっともっと可愛がってあげ、自由を与えてあげるために施すのが、しつけであり、訓練です。
・そしてそのためには、何も競技会のような高等訓練や、犬のサーカスで見るような珍芸・奇芸を教える必要はありません。
・ただ、愛犬を心から愛し、最大の自由を与えてやろうとしたときには、ほんの少しの厳しさが必要になる、ということではないでしょうか。