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犬を「褒める」こと



前回、「犬を叱る」ということについて、我々の考え方を含めてご説明しました。


今回は逆に、「犬を褒める」ことについて考えてみたいと思います。


これも飼い主さんとレッスンをしている時によくあるのですが、我々が「いまお利口でしたから、犬を褒めてあげてください」とお願いしたときに、多くの飼い主さんの取る行動は、

(1)しゃがんで猫なで声で「お利口だね~」と言いながら、犬をせわしなく一生懸命なでる
(2)「ヨシヨシ」と平板につぶやき、おざなりに犬をなでる

の二通りに大別されます。



そして、そんな時に当の犬が見せる態度の多くは、

(a)飼い主さんの態度に興奮して、しっぽをバタバタ振って飛びつく
(b)あさっての方を見ながら、表情のない顔でジッとしている

のどちらかであることが多いようです。


飼い主さんの「褒める」態度、そして犬の「褒められた」ときの態度、それぞれどちらが正しいでしょうか?
・・・そう、どちらも正しくありません。




まず第一に、「褒めること=可愛がること」ではありません。
無論、ベースに愛犬を可愛がる気持ちがなければ話は始まりませんが、それだけで終わっていては、本当に「褒めている」とは言えません。



第二に、「バタバタ尻尾を振って興奮すれば、犬は喜んでいる」というのも大きな間違いです。嬉しい気持ちになることと、バタバタ興奮することはほとんど関係ありません。



今までにも何度か述べましたように、「しつけの目的は、飼い主さんと犬とが気持ちを通じ合わせることができるようにすること」であり、「褒める・叱るは意思疎通の一番の基本」です。


では、犬を「褒める」際に、飼い主と犬との間でやり取りされるべき「気持ち」「意思」とはどういうものでしょうか。
それは、


(飼い主から犬へ)

「今、素直に私の指示に従ったね」
「よく、ほかのことに気をとられなかったね」
「いつも、私の存在を一番に意識して行動しているね」
「私のことを、正しくご主人様として認識して、己の立場も正しく理解しているね」


→「そうやって、私に対して正しい服従心を抱いている限り、
私はお前を一生愛し、養ってあげられるよ



(犬から飼い主へ)

「ご主人様は、私が指示に従ったことを心から喜んでくれている」
「どんな時も、ご主人様の存在を意識し、ご主人様の意向を第一義に行動している私を、よき伴侶として認めてくれている」

→「こうやって、ご主人様に対して正しい服従心を抱いている限り、
私は一生愛され、養っていただけるんだ」




・・・例えばこういうものでなければならないのです。



このような気持ちのやり取りを伴う褒め方ということになれば、

・飼い主は犬に落ち着いた優しい声で褒め言葉をかけながら、静かに愛撫する。 
・犬は飼い主の目をまっすぐ見て、ゆったりと尻尾を振りながら、安心した表情を見せる。

自然とこのようなかたちになるはずです。


然るに、

「オスワリしたときのこの子ったら、ほんとヌイグルミみたいで可愛い!思わず撫でたくなるわ」といったただの感情的な褒め方では、犬は「何か知らんけど飼い主さんが興奮している。良くわからないけど、便乗して私もバタバタはしゃいじゃおう」としか思わないし、

「犬が指示に従ったら、褒めなきゃいけないって言われたんだよな。じゃあとりあえず撫でるかな」などという何の気持ちも伴わないおざなりな褒め方では、犬は「ご主人がなんか言ってるけど、意味わかんないな。てゆうか早く解放してくれないかなあ」ぐらいのことしか考えないでしょう。



もちろん、これらは「気持ち」「意思」の問題ですから、何が「正しい褒め方」で、どこからが「間違った褒め方」かといった線引き自体が難しいことは確かです。

ただご理解いただきたいのは、繰り返しになりますが、


「犬を褒める・犬を叱るというのは、飼い主と飼い犬との意思疎通の第一の基本」
「気持ち・意志の伴わない感情的な褒め方はただの飼い主の自己満足で、犬を意味なく興奮させるだけ」
「同じくおざなりな形式的な褒めかたには、何の意味もなく、犬は何も感じない」

ということなのです。

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